メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見はたぶん純粋に日本繁栄を願っていたのがスタート地点で、スパイとしてウラジオストクに赴き、最初は潜入任務をやりやすくするためにフィーナに近づいた。しかしフィーナを本気で愛してしまった。それでも任務のために自分の本当の身元を教えることはできない。その中で自分に原因の一端がある流れで妻が亡くなってしまう。自分の正体を察してもついて来てくれたものと信じたいが、とうとう本当の身元を明かせたのは死の直前となってしまい、返答を聞くこともできなかった。
このやるせなさを鶴見は妻を(おそらく流れ弾で)撃ってしまったウイルクに対する恨みと、より一層の日本繁栄への邁進に打ち込むことで生きていた。日本繁栄のために愛する妻を犠牲にしてしまったことで後戻りがきかなくなった。この点は月島と似ているかもしれない。
鶴見は宇佐美と共犯になることで愛を計画に利用することを決意する。だがその愛が歪んでしまっていることを自覚できていたのかどうか。
旅順攻囲戦で中央の無能さに心底失望し、日本の繁栄は自分が成し遂げなくてはいけないという思いを強める。しかし函館では自分がその中央の立場となる。
日本繁栄という願いも、妻への愛も、中央の無能さに対する失望も、いずれも鶴見の中では嘘ではないはずだ。部下を駒とは思っていないという言葉もあるいは嘘ではないのかもしれない。しかしこれらが鶴見の中でまだらに混じり合った結果、鶴見の計画は実らなかった。