メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見は複数のペルソナを使い分け過ぎて自分でも何が本音かわからなくなってるんじゃ感がある。
とりあえず終盤で詳細が描かれた金塊や土地権利書の用途に焦点を絞って纏める。
中央に対する建前の目的は、金塊を見つけ出し奥田中将を通じて中央に差し出すこと。
第266話を見る限り、おそらく鶴見は日露戦争前はウラジオストク占領を直接的に目指して暗躍していた。建前の目的は日露戦争に備えた戦略的意義。私情の目的は妻子の眠る地を日本領にして弔うこと。アイヌの金塊の噂はロシアにいる頃から知っており、日露戦争直前に中央から捜索命令を出されて存在を確信する。
日露戦争後に鶴見が部下たちに話していた目的は、金塊を資金源に北海道で軍需産業を育成、政変をおこし軍事政権を樹立、第七師団の地位向上、その先で我々の戦友が眠る満州を実質的な日本の領土に、というもの。旅順攻囲戦で無能な中央上層部に失望したというのは当時の鶴見の偽らざる思いだろう。私情としてはウラジオストクまで日本の領土を拡大したい。
金塊が土地の権利書になっていると知ってからは、まずケシを栽培してアヘンを製造し、それを資金源にする計画へ切り替える。
第270話で鶴見がアシㇼパに語った内容は、自分の第一の目的は日本の繁栄であり、ロシアなどの他国の脅威から日本を守るために軍資金が必要だというもの。進むべき道のかたわらに戦友の眠る満州や妻子の眠るウラジオストクを日本領にしたいという個人的な弔いはあるが、そのために道をそらすことはないという。
この言葉を盗み聞きした月島と鯉登は喜んでいた。これが鶴見中尉殿の本当の目的ならば自分たちが正義を見出すにあたり申し分のない内容だったからだ。だがその正義はあくまで鶴見が進む道の途中で北海道の発展や第七師団の地位向上を実現させることを前提に、それに付け加えて本当の目的の先に自分たちが納得できる正義まであれば嬉しい、という性質のものだ。もし鶴見がついて行った第七師団の兵士をみんな不幸にするのなら、日本の繁栄という錦の御旗だけがあってもどうしようもない。
鶴見は最終盤、事態の収拾がつかなくなって、権利書を持って単身満州に高跳びしようと考える。中央と対立している関東都督府(のちの関東軍)に合流する算段だ。これも日本の繁栄を目指しての行動ではあるそうだ。ただ、北海道も第七師団もどうでも良くなってそうな終盤の月島ならもしかしたらこれを応援できるかもしれないが、第七師団の部下たちのために戦うようになった鯉登からすると許容できない裏切りのはずだ。もちろん鶴見を信じて戦ってきた第七師団の兵士のほとんどからしても手酷い裏切りだ。第七師団の兵士は多くが冷遇した中央に代わって鶴見が自分たちを厚遇してくれるという言葉を信じて戦ってきた。それなのに鶴見が部下たちを完全に切り捨てようとしている。