メモ帳用ブログ

色々な雑記。

月島は、父親を勘違いで殺していたり、鶴見が相当な裏工作をして自分の死刑を取り消させたことを知っても何もしなかったりしたのは前提として良くないんだけど、父親に対して、あんなクソ親父は殺されて当然だった、みたいな言い方を一度もしないで、「尊属殺人で死刑の身ですが とりあえずあの子を死なせたクソ親父だけは殺せたのは満足です」という言い方をしているところは好感が持てる。死刑になって当然のことをした自覚がある=罪悪感があるけど、それとは別に満足感が湧いてしまう気持ちはわかる。
エビフライの話でいご草ちゃんの生存が判明するまで鶴見の嘘がどちらで真実はどちらなのか勘ぐる余地があった。月島がどう考えたのかにも解釈の幅をもたせられなくもなかった。ただ自分は初めて読んだ時からいご草ちゃんは生きているのが本当だと思ったし、月島もそう考えたのだと思った。エビフライの話の前にも『甘い嘘』の回で「私を救うのにどれほど労力を費やしたか訴えるわけです」と言っているし。
月島は自分がそこまでの裏工作をしないと外に出られなかったことを知り、改めて自分は死刑が当然の身だったことを自覚して、自分の命を救い自分を必要としている鶴見にすべてを捧げるしかないと考えた。そんな存在であり、あの時点で少なからず汚れ仕事に手を染めている自分には、いご草ちゃんの髪を持っている資格はないと思い込んだ。アシㇼパの故郷で一度は知りたくなったいご草ちゃんの現状を知るのをやめたのも、「いまさら彼女に何もしてあげられませんから」という理由だろう。月島は死刑囚時代もこう言って鶴見が自分の生存をいご草ちゃんに伝えなかったことを許容、もしかしたら感謝している。