メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見は本当の目的は日本繁栄だ。政権転覆や満州占領のようなゴールのあるものでなく、永遠に終わりの見えない類のものだ。満州高飛び後の北海道帰還計画や、銃を集めたり前照灯に仕込んだりして敵対者と戦おうとしていた点から考えても、列車時点で鶴見に死ぬつもりがあったとは思えない。海に沈んだ列車からも生還し長生きしている。しかしおそらく鶴見は月島と同じように、部下たちを騙して皆死なせようとも政権転覆や満州進出を成し遂げれば皆は救われたことになると考えていたタイプの人間だ。部下たちの乗った車両を切り離す際に「道連れには出来ん」と言ったのも、思い直す前は列車事故に巻き込んで死なせても構わないと考えていたからだ。
だが鶴見は月島と違って自分が死ぬつもりもないのになぜこのように思えたのか。それは鶴見にとって最愛の存在であるフィーナとオリガを自分のスパイ任務中に死なせてしまったせいだろう。フィーナとオリガが救われたことにするためにも、日本繁栄のためにはすべてを捧げるべきであり、それが成し遂げられれば捧げられた全ては救われるのだと思い込もうとした。部下たちを嘘で試して愛を捧げさせようともしたのも妻子との関係をなぞった部分があったはずだ。だが特に手塩にかけた4人の部下が誰一人自分の手元に残らなかったことや、鯉登から月島を解放するように請願されたことから、部下たちを自分の野望のために騙して犠牲にしてはいけないのだと思い直せた。部下たちを自分の進む道について来させてはいけないのだとようやく理解できた。