メモ帳用ブログ

色々な雑記。

もし鶴見とウイルクの因縁がなかったら鶴見がアシㇼパに紳士的に接して大泊でゴールデンカムイ完、になってしまう。その場合鶴見のキャラ性が全く違ったものになるという点は置いておく。
鶴見がアイヌの喫緊の脅威になるとか、アイヌにとって譲れない聖地の開発を目論んでいるとかだったら鶴見に金塊を渡せない理由がわかりやすかったけど、その場合鶴見勢力がわかりやすい敵になりすぎるきらいはあった。白石が言うようにもし何かが違っていたら鶴見と一緒に暗号を解く未来もありえた、くらいの今のバランスがゴールデンカムイの持ち味だ。
序盤からしてアシㇼパにとって黄金は杉元と相棒になるためのかすがいみたいな物だったし、後半も土方勢力と同盟を組むためのかすがいみたいな物だった。アシㇼパは金塊に執着がない。ただ大泊で使い道は今のアイヌが選べると言ったのに、土方勢力と同盟している間は使い道をおまかせして、土方勢力が壊滅してすぐに封印することに決めたのは、鶴見の悪意と状況に流されてしまった感が強くてもったいない展開かも。
これも白石が言っていることだけど、実は土方勢力も金塊の使い道については鶴見よりマシという程度でしかない。土方は土地の権利書と金塊の残りを使って開発を進めたい素振りを見せていた。蝦夷共和国の建国を目指すなら賢明な選択だ。土方勢力とパルチザンが壊滅しなかった場合、その選択はアシㇼパにとって許容範囲だったのか。もしアイヌの意向を汲みアイヌの参加する開発だった場合、アシㇼパは好ましいと思えたのか。同じ金塊を封印する展開にしろ、そういった部分でアシㇼパの考えをより掘り下げる機会はあったように思う。やはり、終盤のアシㇼパが金塊の使い道についてただ流されるままになってしまった点は少しもったいなかった。
子孫に遺恨を引き継がずにすべてを自分たちが終わらせるという意味では、白石がひとつの正解を出したことは間違いない。個人的には争奪戦になった土地は後世に引き継ぐんだから金塊も後世に託して良かったんじゃと思わなくもないが、十代前半の少女が四十代の中年男の悪意にさらされたんだから気持ちはわかる。