メモ帳用ブログ

色々な雑記。

野田先生は前作スピナマラダでも親の子に対する重圧の問題を扱っている。
主人公は天才フィギュアスケーターとして将来を嘱望された存在だった。自身もフィギュアスケートが好きだった。しかし我が子をなんとしてもトップスケーターにして叶わなかった自分の夢を叶えてもらおうとひとり親ながら身を粉にして働く母親の愛と期待に自身の熱意が追いつかず、重圧に苦しむようになる。どこかでフィギュアスケートから解放されたいという思いが募っていく。他方、自分よりもフィギュアスケートを愛しているが才能に恵まれなかった双子の妹からすれば、母親の愛と期待は渇望の対象でしかなかった。主人公は図らずも妹からそれらを奪い取って自分だけがフィギュアスケートを続けることになってしまっており、なおさらに逃げ場がなかった。そうして主人公兄妹が需要と供給の不一致に苦しむ中で、母親が突然死する。主人公は母亡き後自分のフィギュアスケーターとしての将来がかかった大会を自らぶち壊して、選手生命を絶ってしまう。そしてアイスホッケーに出会って自分の本当にやりたいことを見つけた。妹にも本当にに自分のやりたいこと、たとえばフィギュアスケートをやって欲しいと告げ、兄妹はわだかまりをとき、物語は終わる。