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芹澤本では


芹澤が自分に忠告しようとする草太の瞳を「水の底みたい」だと思った。その後、草太に事情を尋ねようとした際、芹澤は草太が「すこしだけ眩しそうな顔で、俺を見た」と感じた。「つかのまに揺れる水面のように、あいつの瞳に寂しさがよぎった」ことが忘れられなくなった。
だから芹澤本の本文を真面目に解釈すれば、草太にとって芹澤は揺れる水面を煌めかせ、深い水の底に差し込む光、ということになる。
芹澤本の表紙になっている芹澤のイラストは映画本編のカットが切り出されたものだ。このカットは鈴芽が垣間見た草太の走馬灯、草太を生に繋ぎ止めた一連の記憶の中に含まれている。芹澤は煌めく木漏れ日の下で優しく微笑み、こちらを見ている。
おそらくこのカットを受け、小説本文における芹澤の表現があのようになっているのではないかと思う。