メモ帳用ブログ

色々な雑記。

あだち漫画の自然にキャラ同士の関係が築かれていく雰囲気というか、これで俺とお前は友達だ!みたいなイベントをいちいち挟まなくてもちゃんと友達になってるのがわかる感じが好きだ。調和や絆の素晴らしさは前提としつつ、それが形骸化した目的になって押し付けられることは避けている。団体競技の部活でもそういうノリなのはリアルかと言われれば全くリアルではないんだろうけど、そういう作風なのでそれがいい。

結果として人間関係で主人公とうまく絡まない部分が出て来るのも味になってる。基本的にはエンタメだとやらないほうがいいんだけど。クロスゲームで不良先輩の巻原たちが根は悪人じゃないとわかった後も、派手に喧嘩をした中西とはろくな会話がないままで中西と仲が良い光ともろくな会話がないままになってしまったり。MIXで二階堂の事情が明らかになった後も、お互いに謝らないっていうあえてお互いの不満を不満のままで尊重する解決法を選んだり。

バッテリーを組んだことがあって父親絡みで気持ちのわかる部分もある走一郎は多少二階堂に同情的だけど、エースの座を奪われる被害を直接受けた投馬にとっては悪い人じゃないのはわかっても積極的に仲良くしたい相手じゃないままっぽいのが面白い。

初っ端のエピソードからこれだけ灰色な決着は普通やらない。でもこれが今のあだち先生がやりたいノリだっていうのははっきり打ち出せたのかな。投馬が二階堂との関係でスッキリした決着が出せなかったせいか、自分も二階堂に対してはスッキリしない気持ちを長い間持っていたけど、ちょくちょくフォローするエピソードもあったので今はあいつも自分と関係のないところで幸せになってほしいなあくらいの感じ。MIXはグシャっとモヤっとしかねないテーマというかノリを扱ってる分語り口が重要なんだけど、そこは流石の名人芸。