『浦沢直樹 描いて描いて描きまくる』の感想メモ① 設定上の天才と凡人

気分転換に浦沢直樹先生のオフィシャルガイドブック『浦沢直樹 描いて描いて描きまくる』を読んだら興味深い話が多かった。何回かに分けて感想を書く。

 

YAWARA!』の猪熊柔は、浦沢直樹先生によれば、『AKIRA』のアキラのような日常に接続した非日常かつ『Dr.スランプ』の則巻アラレのようなはじめからの最強という位置づけだそうだ。設定上でも描写上でも猪熊柔が規格外の「天才」なのは議論の余地がない。でもギャグ色が強かった序盤とはいえ柔道を始めて一年足らずで柔に次ぐ日本のトップクラス選手に駆け上がった本阿弥さやかが、作中で「凡人」と呼ばれていることが個人的にはずっとしっくり来ていなかった。本阿弥さやかが凡人なら長年努力してそれ以下の選手たちはどうなるんだろうと。日本トップクラスの柔道選手だったのに自分を凡人と評価する猪熊虎滋郎(柔の父親)にも同じ感想だった。でも浦沢直樹先生からすると、漫画界において天才なのは手塚治虫先生などで自分は凡才ということらしい。(それ以下の漫画家は…)

その厳しい基準だと、本阿弥さやかと猪熊虎滋郎は努力と運で天才に肉薄する凡人のトップクラスに定義できるのかも。