メモ帳用ブログ

色々な雑記。

現実の疫病に見舞われた村の例だと、17世紀にイングランドのイーム村が辿った経緯は壮絶だ。ペスト大流行の折、ペスト感染者が出たイーム村は疫病を周囲に拡大させないため自主隔離を行った。通説によれば14ヶ月間で約350人いた村人のうち260人が死亡し、生存者はわずか83人だった。



近世に入っても、有効な治療法のない伝染病に対しては、ただ患者を隔離する以外の手立てがなかった。


一方で免疫という概念がない古代から、一部の伝染病に対しては、経験則的に現在のワクチンの原型となる予防法が取られていた。諸説あるが、少なくとも明代以降の中国では人痘法による天然痘の予防が行われていた。あえて感染者の膿やかさぶたを健康な人間に摂取させることで軽い天然痘に感染させ、重い天然痘を防いだ。当時の中医理論では、天然痘とは体内に留まる胎毒が体外からの刺激を受けて皮膚に現れ出る病であり、他人の良性の胎毒を呼び水にして体外に排出することで症状が軽く済むとされていた。