メモ帳用ブログ

色々な雑記。

近代以前の中国では徹底した兵農分離は行われなかった。そうしたこともあって日本的な良いお侍様が百姓を守るみたいな観念はあまりない。でも高皓光は屍者に脅かされそうになっている人間を助けることが人としての道だと思っている。趙炎の高皓光に対する評価でもそうした性質が言及されている。

对我来说,有一个比你拥有本命神通还要重要的原因,
本性为光,
求法者大多自视高于凡人,愿于出手相助已是少数,
更令我赞赏的是…
你要让这世上人人不愁饭,家家有余粮的梦想。

俺からすると、お前が本命神通を持っていることより重要な原因がある。
性根が光であることだ。
求法者の大多数は自分が凡人より偉いと思い込み、助け合おうとする者はもはや少数だ。更に俺が感心したのは…
この世の誰もが食べ物の心配をせず、どの家も食料に余裕があるようにしたいという夢だ。


高皓光はバトル漫画の主人公なので敵は殴って倒すし、相手が屍者だとどうしても殺さなくてはいけないことが多い。ただし必要な犠牲は割り切っている姜明子とは違い、敵でも殺すことに葛藤を持ち続けることが、最終的に大団円に繋がりそうな気配はある。
高皓光の戦いを光の行為として定義するために、周囲は世代を超えて受け継がれる限度のない復讐の闇に満ちているという舞台設定がなされている。そうした状況なら、自己救済的だとしても、加害者本人だけに同害以下の報復をすることは確かに光の行為だろう。実際中国は乱世に侠客的有力者頼りの状況に陥ることがよくあった。また明末から清代にかけては、華南を中心に華中などでも村落同士、宗族同士の抗争が社会問題化していた。これを械闘という。械闘は広義には武器を持って闘争することを意味するが、狭義の械闘は明代から始まった。その背景には、国家の放任を補うための自警の必要性、倭寇の跋扈、海禁(民間貿易の制限)の中止による貿易の活発化、付近の農村への富の流入、急激な人口増加、地元民と客家をはじめとする移住民の衝突などがあったとされる。
徐州府付近の深山に位置していた黒山村は、こうした抗争を免れていたようだ。南北朝時代もまさに深山に位置していたために戦火を免れていたと白小小は伝え聞いており、第4話では高皓光たちにそう話している。しかしずっと乱世から縁遠かったためか、乱世に対応する力をつけることができなかった。