メモ帳用ブログ

色々な雑記。

黒山村の村長を高皓光が殴ったのは、村の犠牲にされた人間に無慈悲な追い打ちをかけたせいだ。村人が屍者に脅迫されて生贄を差し出し、白小小の両親が犠牲になり白小小の番が回ってきたと聞かされただけの時は、村人に怒っていなかった。人間が屍者の脅迫に屈したこと自体を怒っているのではない。
三眼は生贄を食うのを余所者に邪魔されて、特に手抜かりのない村人全員の命を人質にして生贄を脅迫し、余所者を連行するように命令した。それほどに凶悪な屍者だ。そんな屍者が支配している村に生贄が突然生きて帰ったら村が大騒ぎになるのは目に見えている。村人全員を殺害しようとしているも同然の行為だからだ。下品な行為だが、村長が白小小を殴って周りの村人が白小小をなじったのは一番ありえる成り行きだったと思う。
しかし12歳の子どもである高皓光には完全予想外だったらしく色々と過剰反応をする。もしかしたら生贄である白小小が縛られも動けないよう傷つけられもしていなかった(単なる話の都合)ことで、村人も本心では白小小が逃げることを望んでいたと勘違いしたのかもしれない(強引すぎる解釈)。若い女性を殴った年寄りを感情的に殴ってしまうのは自分にも理解できる。でも恐怖の山中に閉じ込められていた年寄りを、いきなり安全圏からやってきて冷静に上から目線で説教した挙げ句に殴るのは下品だ。あの人の良さそうな馬朝師匠の言葉を村人を殴る口実として利用しているのも印象が悪い。黄二果は最初村人を攻撃するよりも協力を得ようとしていたし、師匠があの場にいたとしてもそうしただろう。村の年寄りに三眼と交渉した人間がいたとバレる前だったら、そっちの方が賢明な判断だ。高皓光は白小小が村人を虐殺し始めた時も師匠の教えに縋ろうとした挙げ句、一応は自分で考えるものの、結局は何もできずに最悪の結果を招いた。ただ12歳であることを考えると、あの場で高皓光に何かをさせようとした周りのほうが間違っている。
白小小はそもそも高皓光と黄二果と自分を三眼に殺させるつもりで村に連れて行っていた。3人が村人に暴行されて縛られようとむしろ願ったり叶ったりだった。2人が三眼を退治したり事態を解決したりすることには全く期待していなかった。2人と交流を深めた後も、2人が三眼に殺されそうになるのを目の当たりにして反射的にやめてと叫ぶまでは、命を助けたり逃したりしようとしたことはなかった。
黄二果には白小小を見た村人が騒がないよう取り計らう余地があったかもしれない。しかし逃げれば自殺するという白小小の脅しに萎縮しきっていた。街の求法者に助けを呼ぼうというもっともな提案をした時も、白小小からはそんなことを言って逃げるつもりだと却下され、目の前で舌を噛む真似さえされてしまう。