メモ帳用ブログ

色々な雑記。

二郎:明日までに決めなきゃいけないんだ。
菜穂子:サバの骨?
二郎:はは。覚えたね。工夫すればもうちょっと軽くできそうなんだ。
菜穂子:もっと近くに来て。
二郎:ん?うん。

この会話の場面を初めて見たときギクリとした。自分も含めて多くのオタクにとって、自分の好きな分野を興味のない人に喋り倒してしまい、うんざりされることは珍しい失敗ではないはずだ。二郎は、明らかに飛行機マニアではなさそうな菜穂子が「サバの骨」という言葉を覚えるほどに飛行機について延々語っていたようだ。自分が二郎だったら、菜穂子に先回りして「サバの骨」という言葉を出されたらこれまでの失敗を思い出して菜穂子にも興味のない話をしすぎたかと思って焦ってしまう。ただ、作中の二郎は菜穂子がこの言葉を覚えてくれたことを他意なく喜んでいると捉えていいはずだ。
二郎と菜穂子にとって飛行機は二人を繋ぐものでもあり隔てるものでもある。二人が出会った時、二郎は飛行機の設計に使う計算尺でお絹と菜穂子を助けた。二人が再会した時も飛行機を使ったやり取りで仲を深めた。しかし菜穂子が喀血した際は二郎に飛行機の仕事があるために束の間顔を合わせた後すぐにとんぼ返りせざるを得なかった。菜穂子は二郎の前では朗らかだったが、ひとりになって泣いてしまった。菜穂子は二郎とともに生きるために高原病院へ行くものの、やがて望みが叶わないことを悟らざるを得なくなる。