メモ帳用ブログ

色々な雑記。

月島は鶴見に自尊心を粉砕されていて、鶴見の注ぐ愛は部下を呪縛するための手段でしかないと考えている。だから鶴見に尽くし、鶴見に何か「とんでもないこと」を「成し遂げ」させるという間接的なかたちでしか自己肯定が行えない。そうすることで辛うじて自我を保っている。
だから月島は鯉登と出会い偽りなく必要とされることで砕けた心が満たされていったんだと思う。たとえ相手がかつて自分が誘拐した子供で今も騙し続けている若者だとしても。鯉登を死なせないために真実を暴露した後も、鯉登は月島から離れなかった。物理的な意味だけでなく心理的な意味でもだ。そして最後にはまっすぐに目を見て「私のちからになって助けてくれ」と語りかけてきた。
「月島基は鯉登音之進中将の右腕を全うした」という。
月島は月島という苗字と軍曹という階級は登場後程なく明かされていたが、名前が明らかになるのは遅かった。第143話『スチェンカ』の扉絵でも他の3人が姓名をテロップにする中で1人だけ「月島軍曹」と姓+階級のテロップで紹介されていた。第144話でも他の3人が二つ名と姓名をテロップにする中で1人だけ「“暴走鬼軍曹”月島」と二つ名+姓のテロップで紹介されていた。基という名前が明らかになるのは第149話『いご草』だ。月島を「基ちゃん」と名前で呼んでくれたのは幼なじみであり恋人であるいご草ちゃんだけだったという。しかしいご草ちゃんと月島は引き裂かれ、基ちゃんが戦死したと思い込まされたままいご草ちゃんは他の男と結婚し、申し分のない人生を送っている。月島はここで事実を明かしてすべてをぶち壊すような男ではない。
そんな月島を鯉登は必要とし、傍らに置き続けた。「月島基」という男とともに人生を駆け抜けた。