メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鯉登はある程度アシㇼパと対比されている面はあるけど、あくまで設定としての対比だから単独で抜き出して語りやすい。それに対して勇作は作中のキャラもモロにアシㇼパと重ねていて、勇作についてまともに語ろうとするなら杉元の罪悪感という作中のメインテーマとがっぷり四つに組まなくてはいけないから大変だ。
とりあえず纏める前の断片を抜き出しとく。
■杉元から見えている勇作と尾形から見えている勇作はかなり違う。
■アシㇼパを金塊争奪に引き込んだのは杉元だ。しかし杉元はアシㇼパと仲良くなるにつれてアシㇼパを自分のような人殺しにしたくないという思いが募り、アシㇼパを金塊争奪から下ろそうと考えるようになる。だがアシㇼパは自分の意志で金塊争奪に参戦することを決め、杉元も相棒としてそれを受け入れた。
■杉元は菊田との出会いがきっかけで陸軍に入隊した。菊田がきっかけで一時軍人になったとはいえ、何があろうと菊田のことを恨んだりはしない。しかし杉元は菊田の夢を見た直後、人殺しとなり虚しさを抱えている旅順の自分の姿を夢に見る。杉元は殺人鬼になってしまった自分に対して長年自責の念と自己嫌悪を感じ続けていた。それはまだこの夢を見た段階でも完全には解消されていない。そして夢は戦死した(実は尾形に殺害されたのだが杉元はそれを知らない)勇作を目撃する場面に続き、勇作の面影にアシㇼパが重なる。ここの感情の整理とアシㇼパが尾形を射った際の感情の変化が杉元の罪悪感を考える上で最重要ポイントだけど、とりあえず後回し。
■勇作に選択肢はなかったのかという問題。杉元は選択肢がなかったのでは?という疑念を残している。尾形は勇作が自分にたらしこまれてくれなかったことを認識する一方で、自分を愛してくれたことは理解している。単に普段から好意的に接してくれたというだけではない。自分を抱きしめて泣き、兄様は罪悪感を感じない人間ではないと言ったことが、ただ父親の言いつけを真に受けた言葉を口走ったのではなくて、勇作なりに自分のことを愛して思いやった言葉を届けようとしたのだとちゃんと伝わっていた。もし勇作が尾形を通じて父親の言いつけを守ろうとしているだけだったら、尾形はトメの時のように顔をしかめて勇作も自分を愛していないと感じたはずだ。