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H2は定義上はHの4人がメインキャラ。個人的な印象では野田と木根もメインキャラに入れたい。

ストーリー上で重要な役割を果たしているけどいい意味で華がなくて裏方に徹している野田と、ストーリーのシリアスな部分には絡まないけど裏表がなくてエンタメ的に必要な木根は、H2のバランスをとるのに不可欠。特に野田は恋愛面の舵取りにかなり大きく関わっているのに、出しゃばっている感じがまったく無いのがすごい。H2は脇キャラも含めて多数のキャラが活躍している作品だけど、どんな時でも軸は比呂からブレないのが大ヒットの秘訣なのかな。ごちゃごちゃした群像劇やオムニバスも自分は好きだし、あだち先生も話の筋よりも情緒を優先した群像劇が好きらしいけど、一般的にヒットしやすいのは主人公に焦点を絞ったシンプルなストーリーの方。自分はタッチ、H2、クロスゲームはどれも同じくらい好きとはいえ、この3作だとヒットの度合いとシンプルさは比例しているように感じる。あだち漫画で初ヒットのナインは主人公が華々しく活躍する話ではないけど、センターだからそもそも大活躍を期待されるポジションではないし、主人公のナレーションが多めでさっぱりした性格のキャラが多いから話は青春ものとしてわかりやすい。

連載中のMIXは、今のところあだち先生の野球漫画の中では群像劇の度合いが一番高く感じる。各キャラがおのおの自分の好きなように動いて、思わぬ運命の巡り合わせでドラマが生まれていくという群像劇としてオーソドックスな展開。その分主人公の投馬は大人しめだけど、結果的に登場人物たちの関係の渦の真ん中に来れてはいるからそういう個性なんだろう。ただ、恋愛面でここまでノンビリした男主人公は今までいなかったからその点は心配かも。投馬と音美の関係自体は、例えばいつも美空の美空と光汰くらいのボンヤリしたもので終わっても個人的にはアリ。でもそうすると、音美に真面目に惚れている赤井弟と、投馬に惚れているかもしれない春夏の気持ちが中途半端で終わりかねないのが不安。赤井弟ははっきりと振られなくても、音美に見向きもされていないことを自分で悟って自然に身を引くかたちになっても問題は無さそう。春夏は第2ヒロインだからある程度しっかりした答えが欲しい。あと出来れば走一郎とうまくいきそうだと嬉しい。もし投馬と音美が明確にくっつくなら走一郎と春夏は希望が残るくらいでも満足だし、走一郎と春夏が明確にくっつくなら投馬と音美は匂わせるくらいでも納得できそう。全部匂わせで終わってもうまくまとまるならそれはそれで。