メモ帳用ブログ

色々な雑記。

ウテナの暁生は「男はつらいよ」ならぬ「王子様はつらいよ」なキャラ。昔は善良な王子様としての理想を抱いてみんなのために生きていたけど、耐えきれなくなりドロップアウトして王子様の力を失ってしまった。まっとうな世の中での役目を果たさずに学園の理事長代行などの地位に就くことで学園に閉じこもり続け、面倒な色々は妹のアンシーに押し付けている。

暁生は構想段階では立派な大人の予定だったのが、制作が進むにつれて今の王子様の成れの果てとしての暁生に変化していったのだという。結果的には幾原監督が現在の自分を投影するキャラになった。そして幾原監督が過去の自分、理想の自分を投影した主人公のウテナと対決。一見暁生はウテナの無力化と追放に成功したかに思われたが、実はウテナの真心によってアンシーの意識は開放されており、学園に閉じこもったままの暁生は捨てられる。

自分に駄目なところがあるのを認めるのは成長のために必要だけど、それに開き直ったら駄目なだけの大人になってしまうという。だから暁生は少女革命ウテナの悪役になった。ただ、理想と現実のバランスをとって生きることは、言うのは簡単でも行うのは難しい。駄目でも生きていければそれでいいじゃないかという考え方もある。実際、暁生が既に過去の自分になってしまった現在の幾原監督は、世界の果てになってしまった暁生を糾弾するつもりもないという趣旨の発言をしている。最新作のさらざんまいには現在のそうした意識が反映されていたと感じる。駄目なところを自覚して、やすやすと成長なんてできないことを自覚して、それでも開き直りきらずにどう生きればいいのかというのは難しい問題だ。