メモ帳用ブログ

色々な雑記。

黒山村は話のつくりが雑なのに、いきなり面倒くさい問題に突入していてわかりにくい。一筋縄ではいかないというか白黒つかないというか、だから黒山村の白家ってシャレなんだろうけど。
人間が運命に操られるだけの存在ならこの世に意義はないんじゃって部分にも第1話で回答が用意してある。高皓光は師匠に対して宿命で自分を育てたんなら恩なんて感じないと言うけど、しっかり恩を感じていてその恩に報いる。宿命は檻かもしれないがその中で生まれた幸せもある。
嘘にも自分のためにつく嘘と自分以外のためにつく嘘がある。というか、黒山村のエピソードで明確に嘘をついた描写があるのは白家の人間だけだったりする。白小小の両親も白小小も自分以外のために嘘をついた。村人たちには村長にすら嘘をついている場面そのものは存在しない。村長が高皓光に言った内容はすべて本当だと仮定してもそれ以外の情報とまったく矛盾しない。白小小の回想での村長の発言は、翻訳でニュアンスがずれてしまったが、中文版だとわざと誤った期待を引き出してはいても一応嘘をついてはいない線を守っている。村人の間で語られた現状の明確な誤りとは、三眼の方から生贄を要求したということくらいだ。おそらく村長が意図的に流した嘘ではあるだろう。しかし実のところ、誰が最初に言い出したのか、誰が嘘だと思いつつ自分たちに都合がいいから乗っかったのか、誰が本当にそう信じたのか、といった点は明かされないままになっている。それがテーマの一部とはいえ消化不良感が強い。嘘をついたことが明確な白小小の両親のほうが勇気ある善人で、嘘をついたかはっきりしない村人のほうが臆病な罪人だ。
千年前の話なら、病人が暴走して白大の家族を殺したことを村の全員が知っていて、帰宅した白大に子どもがばらしてしまったということがはっきりしている。丹がほとんど使われていないので帰宅後まもなくばらしたようだ。村の狭い人間関係で、一度広まった秘密を守るのはほぼ不可能だ。この千年前の顛末が歪んで伝わった経緯に関しても、誰かが意図的に白家を貶めたとかそういう話ではないだろう。
このエピソードでは一番の善人だった白大までも、運命に翻弄されて悲劇の連鎖に組み込まれてしまう。第5話で姜明子が語っていたとおり、戦乱の世では普通の人間が普通のままで生きていくことは難しい。