メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見は部下の命を自分の目的のために最大限使い切ろうとした。無駄遣いは五稜郭攻囲戦までせずに済んでいたようだ。この点は「無駄な攻略」である旅順攻囲戦で感じた憤りを貫いたと言える。しかしいざ自分が無駄遣いをする立場に回ってしまった時は、自分もそれに対して責任を取ることはできなかった。
まず序盤で一般的な兵士程度の価値しかない造反者(鶴見自身が中央に対する造反派だというのは置いておく)は容赦なく殺害した。まさか、第46話で鼻を削がれることになった小宮が、あの後命だけは助けてもらい、鼻がないなりに元気で生きているなんてことはありえないだろう。自分に寝返り直し、対杉元要員としても利用できる二階堂は生かした。
勝手に単独行動を取りアシㇼパたちに協力していた谷垣は、アシㇼパ確保のために活用できるから生かした。明確に離反の意志を示した後も、妻子の殺害をほのめかして人質に取り、杉元殺害のために利用しようとした。
有古も二重スパイとして利用できるうちは人質を取りつつも生かした。だがやはりアイヌの側につくと立場を明確にした後は部下たちに殺させようとした。
スパイである菊田は長い間泳がせた後、鶴見が鶴見劇場に最も効果的と考えたタイミングで部下たちの前で処刑した。
誘拐事件の自作自演に気付いたためなのか自分に疑問を持つようになったらしい鯉登は、それでも父親に告げ口したり、自分に離反しようとしなかったため危害を加えなかった。むしろ鶴見劇場で試して、より自分に近しい部下にしようとした。だがその不誠実さにより、かえって鯉登の心は離れてしまい、味方ではなくなった。部下としては利用できたしそう行動したので自分が手を下すことはなかった。
ただ、鯉登が月島の解放を鶴見に求めた際に結果的にそれに応えたのは、やはり鶴見の中に鶴見なりの愛が存在したからだと思う。部下の大多数が戦死し、特に手塩にかけた部下のうちの2人が重傷を負い、その1人がもう1人を解放するように求めてきた時に処罰を下す気にはなれなかった。しばらくの間はこの件に対する苛立ちのほうがまさっていたが、尾形までが戦死したことで我に返った。このままでは部下たちを列車事故の道連れにしてしまう点に思い至り、取りやめることができた。