メモ帳用ブログ

色々な雑記。

ゴールデンカムイの前半はいい意味で無駄が多いところが魅力的だったし愛嬌があった。無駄で非合理的な信念を、時に合理的で狡猾に追い求める様もギャップがあって格好良かった。前半の自然描写も、絶滅したはずのニホンオオカミ、しかも白変種が生き残っているとか、猛毒の巨大蛇とか、謎の巨大鳥とか、いい意味で無駄というかバカバカしいというかなロマン路線だった。
そんな流れの中で、群れのためにならない仲間を殺すほどに無駄のないオオカミは合理的で美しい、なウイルクの主張が樺太編で突然出放り込まれたもんだから異物感がデカかった。ウイルクも根は民族の誇りと愛情ある革命家を大切にするロマンを持つ男ではあるんだけど、それまでのキャラとロマンと合理のバランスが全く違っていた。個人的にはウイルクは割と好きなキャラだし、ウイルクがオオカミに憧れた気持ちは非常に良くわかる。だけどそれまでのストーリーの魅力からは浮きまくっている。ウイルクには愛嬌がない。
樺太編の終盤からはストーリー自体もいい意味での無駄、ロマン、愛嬌がどんどん減っていく。特にアシㇼパと杉元の愛嬌ある場面が減ってしまったのが辛かったな。かといってトンデモ気味で始まったストーリーだからストイックさを突き詰める方向にも進みきれないという。
自分は合理性を突き詰めるが故の美しさやロマンというのもわかるし、だからウイルクがオオカミを好きな気持ちもわかるんだけど、ストイックさのロマンとハチャメチャさのロマンを両方メインストーリーにぶち込むのは混ぜるな危険気味だった気も。終盤の牛山の死に様とかシーン自体は感動的なんだけど、展開がご都合過ぎだとか、前半の牛山は手榴弾の爆発で死ぬような存在だったか?とかの雑念はどうしてもよぎる。
でも勢いでそこまでは気にならなかったかな。変に丁寧に書こうとしても穴がデカくなるだけだったと思うし。