メモ帳用ブログ

色々な雑記。

月島は鶴見がついて行ったものたちに救いを与えられる(月島のニュアンスでは政権転覆や満州進出が実現されれば死んでいったものたちも報われるということ)と無理矢理自分を納得させ、戦友を騙して利用する鶴見に加担した。鯉登は月島から鶴見はついて行ったものたちに救いを与えられる(鯉登の理解では北海道の軍需産業が発展し第七師団の地位が向上するということ。目的を果たすことでそれに命をかけて死んだ者に報いるという発想はあるが、あくまで兵士たちの生活が全体としては大きく改善されるのが前提)と言われ、それを心から信じようとした。そのためなら今は他の兵士たちに口をつぐんでおくことも、自分や父親が利用されることも、構わない。鶴見がみんなを救ってくれると信じて他の兵士たちに真実を暴露しないのだから、同様に自分の父親にも真実を暴露しない。
結果的にその選択は誤りだった。鶴見はついて行ったものたちに救いを与えられる指導者ではなかった。鯉登は黙ることで自ら誤りに加担した。だが人は予め結果を知って進む道を選ぶことはできない。この点では鶴見も想定外の事態に振り回された側ではあるが、だからこそ指揮官はいざという時の責任を取るのが筋だ。ただ、そうした綺麗事だけでは成し遂げられない大義があるということも現実だ。