メモ帳用ブログ

色々な雑記。

血沸き肉踊るアクション時代劇は、開き直ってシグルイくらいゴリゴリの封建社会を舞台にしたほうが素直に楽しみやすい。偉くて強い人間の命令は絶対。侍は命の取り合いを至上の喜びとしてこそ侍。大抵のことは殺される方が悪いの一言でケリがつく。そういった封建社会が生み出す悲劇は封建社会の維持を前提とする限り個人の宿命を彩るものでしかなく、社会の改革とは結びつかない。世の中の流れに従おうが、逆手に取ろうが、押しつぶされようが、封建社会という檻は揺るぎもしない。「封建社会の完成形とは少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」って言葉は漫画のオリジナルだそうだけど良くできている。キャラだと個人的にはギャップも含めて色々美味しい牛股権左衛門がお気に入りだ。ちなみにシグルイクロスゲームを執筆中のあだち充先生がハマっていた漫画だったりする。
日月同错は中国のアクション時代劇+オカルトだけど、封建社会の解体がテーマに含まれているからややこしい問題が多い。白小小は自身の死で封建社会を越えたけど、それすらも高皓光が運命に抗いきれなかった結果だ。個人の才能に依存する法術と誰でも扱える力となる科学という対立もあって、運命に選ばれて三真同月令の伝承者となった高皓光は科学に憧れている。旧弊の否定というテーマが入っているが、不死の妖魔も仙人も法術も作中では迷信などでなく現実だ。丹薬も存在する。中国医術は迷信の側なのか科学の側なのか。じっくり掘り下げれば面白いテーマになりそうだけど、設定を矢継ぎ早に繰り出されるだけだとごちゃ付きが気になってしまう。