メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見は奉天で「私を疑っていたにも拘らず お前は命がけで守ってくれた」瞬間、してやったりという顔をした。砲撃そのものは偶然だったが愛を嘘で試すこの上ない好機になった。
同様に、鶴見からすれば、どうやら鯉登が誘拐事件が自作自演だったと気付いたらしいがそれでも逃げたり父親に告げ口したりせずに自分の部下を続けている点は評価の上がるポイントだっただろう。月島は鯉登が真実に気付いたことがバレれば鶴見から始末を命令されかねないと考えていたようだが、鶴見という人物を正しく理解していない。
鶴見の方は、鯉登と月島が親密になったことや2人して教会で盗み聞きをしたことから、月島が何かヘマをやったことには勘づいていたはずだ。だか洗いざらい喋っていたことはさすがに予想外だったかもしれない。
鶴見は権利書捜索という名目でわざわざ鯉登をかつて誘拐した建物に連れ込み、反応をうかがおうとした。おそらく誘拐実行犯である月島の利用も含め、誘拐事件の真相に触れる新たな鶴見劇場のシナリオを作り上げていたのだろう。しかしそのために鶴見の手口に気付きつつあった鯉登を完全に失望させることになる。そして「あなたは嘘をつきすぎて 嘘で試した人間の『愛』しか本物と思えないのでは?」と図星をつかれてしまった。鯉登はおそらくこのような劇場などせずに真摯に誘拐事件の真相を告白されて、まっすぐに助力を求められていたら、最後まで鶴見についていけたはずだ。しかし鶴見は出会った時から鯉登の期待していたような人間ではなかった。それでも鯉登は部下のために鶴見を裏切らず同行を続けた。一応、樺太帰還後から完全に逃げるまでの期間の谷垣や二重スパイ中の有古よりはよほど鶴見勢力として動いている。もう実質的には鶴見の味方ではなくなってしまったが。