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色々な雑記。

鯉登を五稜郭のあの建物に招き入れた時、害意を最小限に見積もったとしても、鶴見は鯉登が誘拐事件の真相に気が付いたことに気が付いたことを仄めかして圧力をかけようとしている。
鶴見は鯉登が月島と親密になったことと自分への盲信を失ってしまったことを理解していた。月島が自分の命令よりも鯉登の命を優先するようになった現場も目撃した。そんな2人が揃って教会で自分とアシㇼパたちの会話を盗み聞きしようとし、自分の正当性を信じきれなくなっていることに気が付いた。だから教会で鶴見劇場を上演して2人の自分に対する盲信を復活させようと考えた。
あの鯉登が自分への盲信を失ったばかりか疑ってすらいる、そのことから樺太で鯉登と月島が単に接近しただけでなく、鯉登が誘拐事件の真相に勘付くような事態が起きたことを鶴見は悟ったのだろう。
だが鶴見は鯉登が教会で行われた鶴見劇場に気付いたことまでは気付いていなかった。そのために既に鶴見の手口を理解し、信頼できなくなってしまったことは知らなかった。鶴見は鯉登から思わぬ反撃を受け、怪物的な真っ黒な目をしていたところからただの不機嫌な人間の顔に引き戻される。鶴見に甘い嘘を指摘して、「だがもしもの時は部下たちを中央から守るために… 私はあなたを…」と言った時点で、鯉登は鶴見を信じていない。まっすぐに自分を見て「私のちからになって助けてくれ」と頼める人間ではないことを理解しているからこそ、この話を切り出した。それでも鶴見が心にもない甘い嘘でこの場をごまかそうとしたことには改めて失望し、深く傷ついた。思わず女々しい本音を吐露してしまう。だがここですべてのわだかまりを捨てたことで、鯉登は鶴見の部下としての道でなく、少尉として自分の部下たちを守る道を選ぶことができた。