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鶴見が鯉登を五稜郭のあの建物に連れ込んだのは、奉天で月島を佐渡訛りの男と引き合わせたのと同じ意味合いの行為だと思う。部下を嘘で試して自分に対する愛が本物か確かめようとした。自分が嘘という愛を注いできたことを相手に理解させて、それでもついて来るか確かめようとした。
あの場面は鯉登が鶴見を見限ったというよりも、鯉登が鶴見の試験に不合格を出されたと捉えたほうが正しいんだろう。鯉登の不合格を確認した鶴見は既に合格を出している月島を改めて囲い込もうとする。
単行本版の鶴見が投げやりに誤魔化したのは不合格の鯉登が痛いところをついてきたからムカついた面もあるのかも。雑誌版だと不合格は同じでも痛いところをつかないで部下のために離反するかもってだけだったから、バレバレの嘘でも一応リップサービスしてやれた。
鯉登はギリギリまで鶴見を信じようとしていたが、あの小屋を前にして鶴見が月島にしたことと同じことを自分にしようとしているという意図を悟り、その時点でついて行くことができなくなくなってしまった。

「私のちからになって助けてくれ」と
まっすぐにアタイを見てそげん言ってくいやっちょったら
そいでもついて行ったとに

このセリフは、今まで散々嘘をつかれてきたが、この小屋で自分を試すような真似をせず、まっすぐに助力を求めてくれてさえいたら、この絶望的な状況でも指揮官としてのあなたを信じてついて行けたのに、だな。以前の投稿を修正しないと。