メモ帳用ブログ

色々な雑記。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

高橋留美子先生の漫画で完成度の高さ含めて一番好きなのがめぞん一刻。好きなパートの量が一番多いけど、面白いパートとつまらないパートの落差が一番大きいのが犬夜叉。犬夜叉みたいな作品は連載が終わるとなんだかんだ好きな作品だな思えるけど、連載中は…

ゴールデンカムイってぱっと見のコメディ的な印象に反して、キャラ性やキャラの距離がずっと変わらない永遠のドタバタ、みたいなのとは無縁だ。あの高橋留美子先生のお気に入りキャラクターは鯉登だそうだけど、その鯉登周辺で人間関係の不可逆的な変化が特…

鶴見は、部下に自分を愛させて殺人の抵抗感を乗り越えさせる、人を殺した部下は罪悪感との戦いになる、というところまでは認識していた。他方、『戦争における「人殺し」の心理学』で語られている他の要素、たとえば、人を殺して罪悪感を抱えている兵士を癒…

責任感と愛情のきずなで部下と互いに強く結びついている真に優秀な指揮官とは反対の、残虐行為を命じる指揮官と兵士について。かなり月島的。 戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫) 作者:デーヴ グロスマン 筑摩書房 Amazon 全体主義国家の指導…

以下に長々書いていることはアシㇼパが12〜13歳の少女であることを正気の頭で意識してしまうとぶち壊しなので、ゴールデンカムイは正気の漫画でないことを念頭に置かなくてはいけない。当時からしてもアシㇼパを一人前として扱うことは逆に弱者の搾取になり…

日露戦争前の時点で、鯉登平二と花沢幸次郎が親友で、鯉登平二と鶴見篤四郎が親しくなっていて、鶴見篤四郎が花沢幸次郎の部下だから、この3人で集って会話とかしていた可能性があるんだよな。鶴見がすごい白々しい笑顔を浮かべてそう。 花沢からすると自分…

鶴見は日露戦争後不当に冷遇した中央の打倒をお題目にクーデター計画を進めた。部下たちにクーデター計画を伝えたのは日露戦争終結(1905年9月)の後しばらくしてからだ。気になるのは鯉登が第七師団歩兵第27聯隊に見習士官として入隊(1905年11月)したのと…

鯉登の経歴のおさらい。 要点は、日露戦争勃発→日露戦争終結→所属する聯隊(原隊)決定でなく、日露戦争勃発→所属する聯隊(原隊)決定→日露戦争終結であること。 ゴールデンカムイ展の図録によれば、鯉登の経歴は時代考証の人の監修が入っているそうだ。細…

当たり前だけど全てにおいて原作以外は原作じゃない。

今でもあの会社の誤訳について自分の中には憎悪があるし、見捨てたような形になった罪悪感もある。

鯉登は月島に嘘はつかないが、月島が思っているほどすべてをさらけ出しているわけでもない。鯉登は悩んでいる時でも月島の前では悩んでいる顔を全くしない。そして、鶴見が教会で自分たちに対して鶴見劇場を行ったことを、鯉登は五稜郭でも列車でも月島に黙…

鶴見は本当の目的は日本繁栄だ。政権転覆や満州占領のようなゴールのあるものでなく、永遠に終わりの見えない類のものだ。満州高飛び後の北海道帰還計画や、銃を集めたり前照灯に仕込んだりして敵対者と戦おうとしていた点から考えても、列車時点で鶴見に死…

これは前書いたこととほぼ同じようで解釈が変わった部分。この流れだとちゃんと確認しておく必要があるな。 第232話で鯉登は鶴見についてこう語った。 ただ私は鶴見中尉殿が皆を犠牲に己の私腹を肥やさんとしたり あるいは権力欲を満たしたいだけの… くだら…

鶴見と愛ですの4人の関係について書こうとするとダイジェストにしようとしてもいつも月島と鯉登がえらい長くなる。しかもほぼ前書いたことの繰り返し。それでもこの2組の関係はちょっとでも省略しようとするとわけわかんなくなるからな。 鶴見勢力って鶴見が…

社会も道徳も人倫も幻覚だけど、人間の本能が生んだ幻覚だから、足蹴にしすぎても束縛されすぎても良い結果は生まれない。新たな形を一から設計しようとする試みも今のところすべてうまく行っていない。まどろっこしくても少しずつトライ・アンド・エラーを…

現在の国際情勢が完成間近の宮崎監督の最新作に変な影響を与えはしないかということは不安だ。宮崎監督の人生を考えると色々な意味で直撃のダメージだろう。

完全な反社会的勢力なら、社会的道義なんてクソ食らえ、自分の身内と身内の仁義だけ守ればいい、で話が済むからシンプルだ。 ただ、鶴見勢力は一応は陸軍に所属したままだし、鶴見の部下に対する説明も不当に冷遇された第七師団の待遇向上と軍需産業育成によ…

かつて死刑囚であり、裏工作によって助けられた月島は生き残った。生き残った死刑囚の中で明確に殺人を犯したのは月島だけだ。これは月島の殺人の罪が大したことがないという意味でなく、大きな罪を犯していても誰かを助けていれば生き延びられることもある…

自分は現代的価値観からしても、勘違いで父親を殺害した月島が鶴見の裏工作によってすぐに監獄から出られたことは道義から外れていたと思う。それでも鶴見は月島に「信頼できる優秀な通訳で部下だから連れていく」と語り、月島がその言葉に応えてロシア語を…

いわゆる繊細ヤクザっていうのは、自分の痛みに繊細で、自分の利害に合わせて都合よく他人の痛みに鈍感になれるという点でサイコパス的。 繊細ヤクザもサイコパスも都合のいいレッテル貼りになりがちだから乱用には注意が必要だけど。 それと、それとこれも…

宮崎駿監督は、人間は石ころより美徳が少ないと言っているところが信頼できる。

夏になるとニュース番組で戦場のメリークリスマスのテーマ曲がヘビーローテーションされる。アクエリオン以上に音楽が本体の映像作品を超えて生き残った例だよな。戦場のメリークリスマス、自分は大好きだけど内容は完全にカルト映画って感じでなんで当時ヒ…

のっぺら坊は利用するために娘を育てたのではないだろうと鯉登平二は推察した。ほぼ間違いなくそれは正しい。花沢幸次郎もそうだろうし、少なくとも平二はそういうつもりで杉元に手紙の話をした。一方、鶴見は中央を出し抜いて自分の考える日本繁栄を成し遂…

鶴見は部下の命を自分の目的のために最大限使い切ろうとした。無駄遣いは五稜郭攻囲戦までせずに済んでいたようだ。この点は「無駄な攻略」である旅順攻囲戦で感じた憤りを貫いたと言える。しかしいざ自分が無駄遣いをする立場に回ってしまった時は、自分も…

他の人間からは評価されていようとも、自分たちを捨てた花沢幸次郎を尾形親子が恨んだ、ということは十分あり得た話だ。そうだったら話はわかりやすかった。だが尾形はそんなわかりやすい性格はしていない。 尾形が父親を殺害した動機は恨みのような単純で暴…

尾形が射殺しなければおそらく勇作は生き残れたはずだ。 花沢幸次郎が、日露戦争が始まる以前から己の名誉を高めるために己の息子を戦死させることを目論んでおり、尾形はそれを察して父親の計画の中で死なせるのはあまりに忍びなくせめて自分の手で殺害した…

尾形は自分はおかしくないことを証明しようとしてどんどんおかしな道に進んでしまった。尾形は罪悪感を持たない(実は自覚できなかっただけかもしれない?)自分はおかしいというコンプレックスと、自分は祝福されていない、つまり両親はどちらも自分を愛し…

花沢勇作みたいな生まれも育ちも生粋の羊、みたいな人間も軍人になるよう求められるんだから、世襲制はやはり現代的価値観からは否定されざるをえない。将校が直接敵を殺すことは滅多にないんだけど、人の生き死にに関わる仕事はやはり向き不向きが大きい。…

ゴールデンカムイの中央ってもののけ姫でいう師匠連・唐傘連みたいなものだからある程度投げっぱなしになるのは別にいい。ただもうちょっと収拾をつけてくれたらな、ってのはある。 エモさ無視して収拾だけ優先すると、ジコ坊ポジションにあたる菊田が殺害さ…

ゴールデンカムイは、ヤバめのラインを攻めつつも本当にヤバいラインは超えずにバランスの取れた描写をする、という意味でのポリティカルなセンスはあるけど、政治劇や権力闘争を説得力をもって描く、という意味でのポリティカルなセンスは序盤からまるで感…